伸ばした手。

夢の中で、彼は冷たい海に落ちた。

ワタシと彼の間には、人がやっと立てるほどの、
不安定な小さな岩が、ひとつ。


ワタシは身を投げ出して、手を必死に伸ばす。
彼はその手をしっかりと、握りしめた。ググっと力を入れて、
彼を引き寄せると、彼は不安定な岩の上に、自力で這い上がった。


彼も、ワタシもびしょ濡れになった。
彼は、伸ばした手の意味を知っていたんだと思った。




目覚めてから、その手の感触を思い出した。
そして、彼が助かったコトを知った。